NFT副業の現状(2026年版)――熱狂から「実務期」へ
2021〜2022年に世界的なブームを巻き起こしたNFT(非代替性トークン)ですが、2026年現在は「誰でも簡単に億稼げる」という熱狂が落ち着き、NFT市場は実態に見合った取引が行われる「実務期」に入っています。国内でもNFTアートやゲームアイテム、音楽ライセンスなどの売買が継続しており、副業としてNFTを活用している会社員や個人の方は少なくありません。
ただし、NFT副業で実際に収入を得た場合、税金の申告が必要になるケースがほとんどです。本記事では「NFTで稼いだお金はどう課税されるのか」「確定申告はどうやるのか」を、記入例を交えながら具体的に解説します。なお、税務上の判断は個人の状況により異なります。不明点は必ず税理士など専門家や所轄の税務署にご確認ください。
【結論先出し】NFT副業の収入は「雑所得(総合課税)」が基本
NFT取引で得た利益は、原則として雑所得(総合課税)として扱われます(国税庁タックスアンサー No.1525-2 参照)。
なお、2026年度の税制改正では仮想通貨(暗号資産)に分離課税20%が適用される見通しですが、NFTは暗号資産と異なり金融商品の枠組みには含まれないため、現時点では今回の改正対象外です。NFTで得た利益は引き続き総合課税となります。税率は給与所得などと合算した課税所得に応じて5〜45%(住民税10%を加算)となるため、収入が多いほど税率が上がる仕組みです。
| 取引パターン | 所得区分 |
|---|---|
| 副業として継続的にNFTを売買して利益を得る | 雑所得 |
| NFTクリエイターとして創作物を継続的・事業的に販売する | 事業所得(規模・継続性が条件) |
| NFTを偶発的・一時的に売却(営利目的の継続性がない) | 譲渡所得(長期・短期) |
副業として数カ月に一度NFTを売買する会社員のほとんどは「雑所得」に該当します。雑所得と事業所得の判定基準については、副業の雑所得と事業所得の違い|判定基準と帳簿も参考にしてください。
NFT取引の損益計算方法
基本式:利益=売却価格 ー 取得価格 ー 経費
NFT副業の雑所得は次の式で計算します。
雑所得 = 総収入金額(NFT売却額)― 必要経費(取得費・手数料など)
具体的な計算例
状況:イーサリアム(ETH)でNFTを購入し、後に売却した場合
- ETHを0.5 ETH購入(購入時1 ETH=30万円 → 取得費用15万円)
- そのETHでNFTを0.5 ETH(購入時価15万円相当)で購入
- NFTを0.8 ETH(売却時1 ETH=35万円 → 売却金額28万円)で売却
損益計算
- NFT売却益:28万円 ー 15万円(取得費)= 13万円の利益
- さらに、ETHで支払った時点でETH自体の売却とみなされ、ETH購入時との差額も課税対象になります
注意:ETHなどの暗号資産を使ってNFTを購入した場合、その暗号資産の「みなし売却」が発生します。つまり、NFT購入時点で暗号資産の損益も確定するため、二重の計算が必要です。
経費として計上できるもの
| 項目 | 経費計上の可否 |
|---|---|
| 取引所手数料・ガス代(業務に直接関連するもの) | 基本的に可(取引ごとに記録要) |
| NFT制作に使ったソフトウェア代 | 国税庁見解では原則不可 |
| 取引記録ツール・会計ソフトの費用 | 可(業務使用割合に応じて) |
| 書籍・セミナー代(NFT・税務関連) | 可(業務との関連が明確な場合) |
経費の範囲や計上方法の詳細は、副業の経費 何が落ちる?認められる費用一覧と確認も参照してください。
確定申告が必要なケースと申告の手順
確定申告が必要になる目安
- 給与所得者(会社員):NFT含む副業収入の合計が年間 20万円超の場合
- 給与所得なし(専業主婦など):NFT収入が年間 48万円超(基礎控除額)の場合
確定申告の具体的な手順(記入例)
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用する方法が最も簡単です。
STEP 1:取引記録を整理する
年間のNFT取引をすべてリストアップします。取引日・売却価格・取得価格・手数料(円換算値)を記録しておきましょう。
STEP 2:雑所得の金額を計算する
記入例)
- NFT売却総額:450,000円
- 取得費(購入価格):280,000円
- 経費(手数料・ガス代):20,000円
- 雑所得 = 450,000円 ー 280,000円 ー 20,000円 = 150,000円
STEP 3:確定申告書(第一表・第二表)に記入する
「所得の種類」欄で「雑所得(その他)」を選択し、収入金額と必要経費、差し引き後の雑所得を記入します。
- 第一表「雑所得」欄:収入450,000円 / 経費300,000円 / 所得150,000円
- 第二表「雑所得(公的年金等以外)」欄:支払者名に取引所名、収入金額・必要経費を記載
STEP 4:e-Tax(電子申告)または書面で提出
申告期限は翌年2月16日〜3月15日(2026年分は2027年3月15日まで)。e-Taxなら自宅から24時間提出可能です。
申告の詳細な流れは副業の確定申告やり方ガイド|図解で手順を解説を参考にしてください。
NFT副業のよくある失敗・税務上の落とし穴7選
ここがこの記事の核心です。NFT副業固有の税務ミスを具体的に紹介します。
落とし穴①:ガス代を「全額経費」と思い込む
ブロックチェーン上の取引手数料(ガス代)は、NFTの売買に直接関連する部分のみが経費として認められる可能性があります。ウォレット間の移動やテスト取引のガス代は経費になりにくいため、取引ごとに記録を残すことが重要です。また、ガス代の正確な扱いは税務署や税理士への確認を推奨します。
落とし穴②:損失を翌年に繰り越せると思っている
雑所得の赤字(損失)は翌年に繰り越せません。株式の譲渡損失とは異なり、NFT副業で損が出ても、翌年の利益と相殺することはできません。また、雑所得の赤字を給与所得などと損益通算することも原則として不可です。
落とし穴③:海外取引所の取引記録を失う
OpenSeaなど海外のNFTマーケットプレイスを利用した場合、取引履歴のCSVエクスポートが仕様変更で取得できなくなるケースがあります。取引の都度、日付・金額・ETH価格を記録しておきましょう。暗号資産損益計算ツールの活用も有効です。
落とし穴④:ETH建て取引の円換算を忘れる
NFTの売買はETHなど暗号資産建てで行われるため、取引日時点の円換算レートで損益を計算する必要があります。「売った瞬間のETH価格×数量」を日本円で記録しないと、後から正確な申告ができなくなります。
落とし穴⑤:NFTを贈与した場合も課税される
NFTを無償で贈与した場合でも、贈与時点の時価が収入金額として扱われる可能性があります(みなし譲渡課税)。コミュニティへの無償配布なども税務上は注意が必要です。
落とし穴⑥:NFTクリエイター収入と売買益を混同する
NFTを自作して販売する「クリエイター収入」と、購入したNFTを転売する「売買益」は所得の性質が異なることがあります。クリエイターとして継続的に事業規模で活動している場合は事業所得になる可能性があり、青色申告を選択することで65万円の特別控除を受けられます。詳しくは副業の青色申告 やり方を参照してください。
落とし穴⑦:「20万円以下だから申告不要」で住民税も忘れる
給与所得者の場合、副業所得20万円以下は所得税の確定申告が不要ですが、住民税の申告は別途必要です。20万円以下でも市区町村に住民税申告を怠ると、ペナルティが生じる可能性があります。副業全体の税金については副業の税金 完全まとめもご一読ください。
NFT副業を本格化させたい方へ
NFT副業を本格的に展開したい場合、スキルの販売や外注なども視野に入ります。NFTアートのデザインや制作を外注したい場合は、スキルマーケット「ココナラ」でNFT関連のクリエイターを探すことができます。
また、NFT副業に関するコンサルやサポートを受けたい場合は、クラウドソーシングサービス「クラウディア」でも専門家を探せます。
まとめ:NFT副業の税金は「雑所得・総合課税」で正直に申告を
- NFT副業の収入は原則「雑所得(総合課税)」。2026年の仮想通貨税制改正の対象外
- 損益計算は「売却額 ー 取得費 ー 経費」。ETH建て取引は円換算を忘れずに
- 会社員は副業所得が年20万円超で確定申告が必要
- 雑所得の損失は翌年への繰越不可・他所得との損益通算も不可
- ガス代・海外取引所の記録管理が税務上のカギ
- 不明点は税理士や所轄税務署への確認を必ず
NFT市場は熱狂期を経て現実的な実務期に入りました。副業として取り組む場合は、正確な記録と適切な申告が長続きの秘訣です。税務上の取り扱いは国税庁公式サイトでも最新情報をご確認ください。

