副業で予定納税の通知が来たら|時期・金額・減額申請の手順【2026年版】

副業の税金・確定申告

副業の予定納税とは?結論から先に伝えます

「予定納税の通知が届いた。一体いくら払えばいいの?」「副業を始めたら突然来た——これって普通のこと?」

副業を始めて初めて確定申告をした翌年、見慣れない「予定納税」の通知が届いて焦る人は少なくありません。結論から言うと、予定納税とは「今年の税金の一部を前払いする制度」で、前年の申告納税額(所得税+復興特別所得税)が15万円以上だった人に義務として課されます。

この記事では、副業をしている会社員・主婦の方に向けて、予定納税の仕組み・時期・金額の計算方法・通知の読み方、そして収入が減ったときの「減額申請」の手順まで、実際の記入例つきで解説します。なお、税務手続きは個人の状況により判断が異なるため、詳細は税理士や所轄の税務署への確認を推奨します。

予定納税の仕組みと対象者

なぜ「前払い」が必要なのか

会社員は毎月の給与から源泉徴収という形で自動的に税金が天引きされます。しかし副業や個人事業の所得は年に一度まとめて確定申告で納税する仕組みのため、年末に「まとめて100万円払ってください」となるケースが生じます。

これでは納税者の資金負担が一時に集中し、かつ国の税収も遅れます。そこで前年の税額が一定以上の人には、当年分の税金の一部を2回に分けて前払いさせる制度が「予定納税」です。

対象者の条件(基準額15万円)

その年の5月15日現在で確定している前年分の予定納税基準額が15万円以上の人が対象です(国税庁タックスアンサー No.2040)。

  • 副業収入があり、確定申告で15万円以上の所得税・復興特別所得税を納めた翌年
  • フリーランス・個人事業主として活動している方
  • 不動産所得・原稿料・講演料などの雑所得がある会社員

逆に言えば、確定申告の納付額が15万円未満なら予定納税は発生しません。初めて確定申告した年の副業所得が少なかった場合は対象外になるケースが多いです。

予定納税基準額の計算方法

予定納税基準額は、原則として「前年分の申告納税額(確定申告書の「第3期分の税額」欄の金額)」がそのまま使われます。

項目 金額(例)
前年の申告納税額(復興特別所得税含む) 300,000円
予定納税基準額 300,000円(前年の申告額がそのまま)
第1期分の予定納税額 100,000円(基準額の1/3)
第2期分の予定納税額 100,000円(基準額の1/3)
残り(翌年3月の確定申告で精算) 100,000円

つまり基準額の3分の1ずつを2回前払いし、実際の今年の税額との差額を翌年の確定申告で精算します。払いすぎていれば還付、足りなければ追納です。

通知はいつ来る?納付期限はいつまで?

通知の時期(6月15日までに届く)

税務署から「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」が送られてくるのは、毎年6月15日までです。郵送で自宅に届く書類で、前年の申告内容をもとに計算された予定納税額が記載されています。

e-Taxを利用している方は、マイナポータルやe-Taxのメッセージボックスに電子通知が届く場合もあります。

納付期限(第1期:7月末 / 第2期:11月末)

区分 納付期限 備考
第1期分 7月31日 土日・祝日の場合は翌開庁日
第2期分 11月30日 土日・祝日の場合は翌開庁日

この2回の前払いと翌年3月の確定申告で最終精算というのが基本的な流れです。「確定申告は3月だから年に1回」だと思っていると、7月と11月に突然の納税が発生して慌てる原因になります。

納付方法

  • e-Tax(ダイレクト納付・インターネットバンキング):最も手軽。マイナンバーカードとスマートフォンで完結できる
  • クレジットカード:国税クレジットカードお支払いサイトから。決済手数料(税込0.8%台)がかかる
  • 金融機関・税務署窓口:通知書を持参して現金納付
  • コンビニ納付(QRコード):30万円以下の場合に利用可能

振替納税(口座振替)を設定している方は、各期の納付期限に自動で引き落とされます(第1期は7月下旬、第2期は11月下旬に引き落とし日が設定されることが多い)。

副業収入で予定納税が発生するシミュレーション

ケース別:いくらから予定納税が始まるか

以下は会社員が副業をしている場合の試算です。本業の給与所得については年末調整で完結しているため、ここでは副業の雑所得・事業所得部分のみを対象としています(前提条件:各種控除は基礎控除48万円のみ)。実際の税額は給与所得との合算額や各種控除によって変わります。

年間副業所得(経費控除後) 所得税率(目安) 所得税額(目安) 予定納税の有無 各期の前払い額
100万円 5〜10% 約5〜10万円 なし(15万円未満)
200万円 10〜20% 約15〜25万円 境界ライン(要確認) 約5〜8万円
300万円 20%前後 約30〜45万円 あり 約10〜15万円
500万円 20〜30% 約70〜100万円 あり 約23〜33万円

※ 上記は概算です。実際の税額は給与所得・控除額・復興特別所得税(2.1%上乗せ)によって変わります。税理士または所轄税務署にご確認ください(国税庁タックスアンサー No.2040「予定納税」)。

注意:予定納税は「今年の収入」に関係ない

重要なのは、予定納税額は前年の税額から計算されるという点です。たとえば2025年に副業で大きく稼いで確定申告で50万円納税した人は、2026年の7月と11月にそれぞれ約16万7千円の予定納税が発生します。これは2026年の実際の副業収入がいくらであろうと変わりません(減額申請をしない場合)。

副業で雑所得か事業所得かの区分によって経費の扱いも変わりますが、いずれの場合も申告納税額が15万円以上になれば翌年から予定納税が始まります。

収入が減ったら?減額申請のやり方

減額申請できるケースと条件

今年の収入が前年より大幅に減少した場合や、業務を廃止・縮小した場合は、予定納税額の減額申請ができます。「前払いしすぎ」を防ぐための制度です。

減額申請が認められる主な理由:

  • 今年の業績不振・収入減少
  • 副業を辞めた・大幅に縮小した
  • 多額の経費が発生した
  • 医療費控除・寄附金控除など各種控除が増えた
  • 災害・盗難などによる損失

申請期限(これを逃すと適用不可)

申請対象 申請受付期間
第1期・第2期の両方を減額したい その年の7月1日〜7月15日
第2期分のみを減額したい その年の11月1日〜11月15日

7月15日と11月15日が締め切りです。この日を過ぎると申請できず、納付期限(7月31日・11月30日)には通知書通りの金額を払うことになります。

申請書の書き方(記入例つき)

使用書類は「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」(国税庁ホームページからダウンロード可)。所轄の税務署に提出するか、e-Taxでオンライン提出できます。

主な記入項目:

  • ① 住所・氏名・職業:基本情報
  • ② 通知を受けた予定納税額:通知書に記載された金額をそのまま転記
  • ③ 見込みの本年分の所得:今年の予想収入・経費・控除額を計算して記入
  • ④ 見込みの本年分の税額:③から算出した推定税額
  • ⑤ 減額を求める予定納税額:「④の3分の1(または3分の2)」が目安
  • ⑥ 減額の理由:「本年の副業所得が前年比○%減少の見込み」など具体的に

承認されると、減額後の金額の通知が税務署から届き、その金額を各期限までに納めればOKです。

副業の確定申告のやり方全般については、副業の確定申告 やり方ガイド|図解で手順を解説も参照してください。

よくある失敗・落とし穴5選

失敗1:通知書を「迷惑郵便」と思って捨ててしまう

予定納税の通知書は「税務署から来た請求書」ですが、見慣れない書類のため開封せず放置してしまう人がいます。通知書がなくても税務署側のシステムには予定納税額が登録されており、納付しないと延滞税が発生します。6月以降に届く税務署からの封筒は必ず開封しましょう。

失敗2:確定申告で納税を終えたのに、また払わされると思ってパニックになる

予定納税は「追加の税金」ではなく「今年分の前払い」です。翌年の確定申告で実際の税額と精算するため、前払い分は差し引かれます。前払いしすぎていれば還付されます。

失敗3:収入が激減したのに減額申請を知らず払いすぎる

副業を辞めたのに予定納税を払い続け、翌年3月の確定申告まで待って大きな還付を受けるというケースは多いです。収入が大幅に減少した場合は、7月15日・11月15日の申請期限を逃さず減額申請することで資金繰りを改善できます。

失敗4:振替納税の設定を忘れて口座残高不足になる

確定申告の際に振替納税を設定している人は、第1期・第2期の予定納税も自動引き落としの対象になります。通帳の残高が不足していると引き落としが失敗し、延滞税の対象となります。6月の通知書が届いたら引き落とし日(7月後半・11月後半)の残高を確認しておきましょう。

失敗5:帳簿をつけていないため減額申請の「見込み所得」が計算できない

減額申請書には今年の見込み所得と税額を記入する必要があります。日常的に副業の帳簿をつけておく習慣がないと、「いくら稼いだか・使ったかが即座にわからない」という状況になり、減額申請のタイミングを逃します。月次で収支を整理する習慣をつけることが、予定納税対策にも直結します。

払いすぎた予定納税は確定申告で還付される

還付の仕組みと確定申告の関係

予定納税は「今年の税金の見込み前払い」なので、実際の年間税額が前払い合計を下回れば、差額は翌年の確定申告で還付されます。

例:前年の税額が30万円 → 第1期・第2期で計20万円を前払い → 今年の実際の税額が8万円だった場合、確定申告で12万円が還付されます。

還付は確定申告書を提出してから通常1〜2ヶ月以内に指定口座に振り込まれます(e-Taxで提出すると比較的早い傾向にあります)。

e-Taxで確定申告するメリット

  • 還付が早い(紙申告より数週間早いケースあり)
  • 予定納税額は自動的に申告書に反映されるため記入ミスが減る
  • 青色申告の場合も電子申告で65万円控除が適用できる

副業の税務全般は複雑になりがちです。帳簿の整備・青色申告の活用・予定納税の減額申請を総合的に管理するためにも、税理士や所轄税務署に相談することを強くお勧めします国税庁公式サイトでも各種手続きの案内を確認できます)。

まとめ:副業の予定納税で押さえるべきポイント

  • 対象:前年の申告納税額(所得税+復興特別所得税)が15万円以上の人
  • 通知:毎年6月15日までに税務署から書面で届く
  • 納付期限:第1期=7月31日、第2期=11月30日
  • 金額:予定納税基準額(≒前年の申告納税額)の3分の1ずつ
  • 収入が減ったら:7月1〜15日(第1期・第2期)、11月1〜15日(第2期のみ)に減額申請
  • 払いすぎたら:翌年3月の確定申告で還付される

予定納税は「知らなかった」では済まされない義務ですが、きちんと仕組みを理解すれば怖くありません。通知書が届いたら金額と納期限を確認し、収入が大幅に減った場合は減額申請の期限を逃さないように手帳やスマホのリマインダーにセットしておきましょう。

なお、この記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務判断については税理士や所轄の税務署に相談することを推奨します

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