副業のパソコンは経費で一括?少額減価償却と一括償却の使い分け【2026年改正】

laptop camera calculator and receipts on a wooden desk 副業の税金・確定申告

副業でパソコンやカメラなどの機材を買ったとき、「経費で一括計上できるの?それとも数年に分けて処理するの?」と迷う方は多いはずです。結論から言うと、副業の資産は「取得価額」によって経費計上のルールが変わります。10万円未満なら全額その年の経費、10万円以上なら金額に応じて「一括償却資産」か「少額減価償却の特例」か「通常の減価償却」を選ぶことになります。

この記事では、副業の会社員や個人事業主が迷いやすいパソコン・機材の経費処理を、金額の境目ごとに整理し、2026年の税制改正ポイントと確定申告での記入例までまとめました。誇大な節税テクニックではなく、国税庁の公式ルールに沿った正しい使い分けを解説します。

  1. 副業の資産は「取得価額」で経費計上の方法が4つに分かれる
    1. 10万円未満:全額その年の経費にできる
    2. 10万円以上20万円未満:一括償却資産(3年で3分の1ずつ)
    3. 10万円以上30万円未満:少額減価償却の特例(青色申告なら一括)
    4. 30万円以上:通常の減価償却(法定耐用年数で分割)
    5. 副業を始める前に買った機材はどうなる?
  2. 【早見表】取得価額別・副業機材の経費計上パターン
  3. 2026年の税制改正で上限が「30万円→40万円」に引き上げ
  4. 副業でよくある機材別・経費計上のシミュレーション
    1. ケース1:25万円のパソコンを買った(青色申告)
    2. ケース2:18万円のカメラを買った
    3. ケース3:8万円のデスクと9万円の周辺機器
  5. 確定申告での記入方法と見落としがちな注意点
    1. 少額減価償却の特例を使うときの記入
    2. 一括償却資産は「償却資産税」がかからない
    3. プライベートと兼用なら「家事按分」を忘れずに
  6. 【記入例】青色申告決算書「減価償却費の計算」欄の書き方(3ケース)
    1. 先に押さえたい6つの欄のルール(国税庁の記載要領)
    2. 3つのケースを欄ごとに埋めるとこうなる
    3. ケース別の計算過程
    4. いくら税負担が変わる?(数値例)
  7. 副業の減価償却・少額資産に関するよくある質問
    1. Q. 中古で買った機材でも特例は使える?
    2. Q. 分割払いやローンで買った場合の取得価額は?
    3. Q. セットで買ったパソコンとモニターは合算して判定する?
    4. Q. 少額減価償却の特例と一括償却資産、結局どちらが得?
  8. まとめ:金額の境目を押さえて正しく経費にしよう

副業の資産は「取得価額」で経費計上の方法が4つに分かれる

減価償却とは、長く使う資産の購入費用を、使用する期間にわたって少しずつ経費にしていく考え方です。ただし金額が小さい資産には、その年に一括で経費にできる特例が用意されています。副業で機材を買ったときの選択肢は、取得価額(本体価格+送料などの付随費用)で次の4パターンに分かれます。

10万円未満:全額その年の経費にできる

取得価額が10万円未満の資産は、減価償却をせず、購入した年に全額を「消耗品費」などとして経費にできます。白色申告でも青色申告でも使える、最もシンプルな方法です。マウス、キーボード、10万円未満のモニターなどが該当します。

10万円以上20万円未満:一括償却資産(3年で3分の1ずつ)

取得価額が10万円以上20万円未満の資産は、「一括償却資産」として、取得価額の合計を3年間で3分の1ずつ均等に経費にできます。青色・白色を問わず使えるのが特徴で、後述する償却資産税(固定資産税)の対象外になるという地味に大きなメリットもあります。

10万円以上30万円未満:少額減価償却の特例(青色申告なら一括)

青色申告をしている中小事業者(副業の個人事業主を含む)は、取得価額10万円以上30万円未満の資産を、その年に全額一括で経費にできる特例(措置法第28条の2)を使えます。1台25万円のパソコンを買った年にまとめて経費化でき、利益が出た年の節税に有効です。ただし年間合計300万円までという上限と、青色申告者に限るという条件があります。

30万円以上:通常の減価償却(法定耐用年数で分割)

30万円以上の資産は、原則どおり法定耐用年数に応じて数年に分けて経費にします。パソコンの法定耐用年数は4年、カメラは5年などと決まっており、耐用年数で割った金額を毎年計上します。

副業を始める前に買った機材はどうなる?

副業を開始する前に個人で買っていたパソコンや機材も、事業で使い始めた時点で経費(減価償却資産)に計上できます。この場合は購入時の取得価額から、使っていた期間分の価値の減少を差し引いた「未償却残高」を引き継いで計上するのが原則です。開業のタイミングや個人事業主としての手続きを整理したい方は副業の開業届は出すべき?メリット・デメリットもあわせて確認しておくと、初年度の申告準備がスムーズになります。

【早見表】取得価額別・副業機材の経費計上パターン

ここまでの内容を、副業でよく買う機材の例とあわせて一覧にまとめました。自分の買った機材がどのパターンかを確認してみてください。

取得価額 使える方法 経費にするタイミング 申告方式 機材の例
10万円未満 全額経費(消耗品費) 購入した年に全額 白色・青色OK マウス・キーボード・格安モニター
10万〜20万円未満 一括償却資産 3年で3分の1ずつ 白色・青色OK 18万円のカメラ・タブレット
10万〜30万円未満 少額減価償却の特例 購入した年に全額 青色申告のみ 25万円のパソコン・機材一式
30万円以上 通常の減価償却 法定耐用年数で分割 白色・青色OK 高性能PC・撮影機材フルセット

ポイントは、10万〜20万円未満の資産は「一括償却資産」と「少額減価償却の特例(青色のみ)」のどちらも選べることです。利益が出ていて早く経費化したいなら特例、償却資産税を避けたいなら一括償却資産、と目的で選び分けます。

2026年の税制改正で上限が「30万円→40万円」に引き上げ

少額減価償却の特例には注目すべき改正があります。国税庁によると、中小企業者等の少額減価償却資産の特例は、令和8年(2026年)4月1日以後に取得する資産から、対象が「取得価額30万円未満」から「40万円未満」に引き上げられ、適用期限も3年延長されました。年間合計300万円までの上限は引き続き維持されます。

つまり2026年3月31日までに取得した機材は30万円未満まで、2026年4月1日以降に取得した機材は40万円未満まで一括経費にできる、という切り替えが起きます。年度をまたいで高額機材の購入を検討している方は、取得タイミングによって使える枠が変わる点に注意しましょう。日々の記帳を整えておくと、こうした判定もスムーズになります。記録の始め方は副業の帳簿のつけ方【エクセル初心者向け】も参考にしてください。

この拡充は、中小企業庁のリーフレット「少額減価償却資産の特例を拡充しました」(令和8年5月作成)でも案内されています。同リーフレットでは、措置内容を「40万円未満の減価償却資産を取得した場合、合計300万円までを限度に、取得時に全額損金算入が可能。」、措置期間を「令和10年度末(2029年3月31日)まで」と明記しています。対象者は中小企業者等で、中小企業者は従業員数400名以下が対象とされています(副業を一人でしている個人事業主であれば、この人数要件は問題になりません)。また個人事業主の適用手続きは、「青色申告決算書の「減価償却費の計算」の「摘要」欄に「措法28の2」と記載すること」と案内されています。貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産は対象から除かれる点にも注意してください。

副業でよくある機材別・経費計上のシミュレーション

具体的な金額でイメージをつかめるよう、副業でよくある3つのケースで計算例を示します。

ケース1:25万円のパソコンを買った(青色申告)

青色申告なら少額減価償却の特例で購入した年に25万円全額を経費にできます。白色申告の場合はこの特例が使えないため、法定耐用年数4年で割った年6万2,500円ずつの減価償却になります。青色申告の節税メリットが分かりやすく出るケースです。

ケース2:18万円のカメラを買った

18万円は10万〜20万円未満なので、一括償却資産として3年間で毎年6万円ずつ経費にできます。青色申告なら少額減価償却の特例で初年度に18万円全額を経費にする選択も可能です。翌年以降の利益見込みに合わせて、どちらが有利かを判断します。

ケース3:8万円のデスクと9万円の周辺機器

どちらも10万円未満なので、それぞれ購入した年に全額を経費にできます。1点ごとの取得価額で判定するため、合計17万円でも「10万円未満の資産が2点」という扱いになる点がポイントです。

確定申告での記入方法と見落としがちな注意点

少額減価償却の特例を使うときの記入

青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に、摘要として「措置法28条の2」と記載し、当期に全額経費算入したことを明記します。取得価額の合計が年300万円を超える部分は特例の対象外になるため、複数の機材を買った年は合計額の管理が必要です。

一括償却資産は「償却資産税」がかからない

一括償却資産(20万円未満)を選ぶ隠れたメリットが、償却資産税(固定資産税)の対象外になることです。少額減価償却の特例で一括経費にした30万円未満の資産は償却資産税の対象になり得るため、資産が増えてきた副業では税負担を比較して選ぶとよいでしょう。判定の詳細は国税庁の減価償却のあらましで確認できます。

プライベートと兼用なら「家事按分」を忘れずに

自宅の副業で使うパソコンを私用と兼用している場合は、事業で使う割合だけを経費にする「家事按分」が必要です。全額を経費にすると税務調査で否認されるリスクがあります。経費の全体像を整理したい方は副業の税金まとめ(確定申告・住民税・節税対策)もあわせて確認しておくと安心です。

【記入例】青色申告決算書「減価償却費の計算」欄の書き方(3ケース)

ここからは、青色申告決算書3ページの「減価償却費の計算」欄に、実際にどの欄へ何を書くかを、記号ごとに埋めた記入例で示します。欄の名称と記載ルールは国税庁「令和7年分 青色申告決算書(一般用)の書き方」に基づいています。金額はイメージをつかむための試算例です。

先に押さえたい6つの欄のルール(国税庁の記載要領)

  • ㋺償却の基礎になる金額…「本年中に取得した資産は、取得価額そのままの金額を記入します」
  • ㋩償却率又は改定償却率…「一括償却資産の必要経費算入の適用を受ける場合には、『1/3』と記入します」
  • ㋥本年中の償却期間…「資産を月の中途で取得や譲渡、取壊しなどをした場合は、その月を1か月として計算した本年中の償却期間の月数を記入します」。1年まるごと使ったなら「12」、10月に買って年末まで使ったなら「3」です
  • ㋭本年分の普通償却費…「㋺×㋩×㋥」で計算します(㋥は12分の月数として計算します)
  • ㋦未償却残高(期末残高)…本年中に取得した資産は「㋑の金額から㋣の金額を差し引いた金額」
  • 摘要…「中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例の適用を受ける場合……『措法28の2』」と記入します

パソコン(サーバー用のものを除く)の法定耐用年数は4年で、耐用年数4年の定額法の償却率は0.250です(国税庁「減価償却資産の償却率等表」)。以下の記入例はこの数値を使っています。

3つのケースを欄ごとに埋めるとこうなる

いずれも「副業で8割、私用で2割」使うパソコン・カメラを想定し、事業専用割合を80%としています。

決算書の欄 ケース1:25万円のノートPC(青色申告・特例を使う) ケース2:18万円のカメラ(一括償却資産) ケース3:32万円のPCを10月に購入(定額法)
減価償却資産の名称等 ノートパソコン 一括償却資産(カメラ) ノートパソコン
㋑取得価額 250,000 180,000 320,000
㋺償却の基礎になる金額 250,000 180,000 320,000
償却方法 定額
耐用年数 4
㋩償却率又は改定償却率 1/3 0.250
㋥本年中の償却期間 12 12 3
㋭本年分の普通償却費 250,000 60,000 20,000
㋣本年分の償却費合計 250,000 60,000 20,000
事業専用割合 80 80 80
㋷本年分の必要経費算入額 200,000 48,000 16,000
㋦未償却残高(期末残高) 0 120,000 300,000
摘要 措法28の2 (記載不要) (記載不要)

ケース別の計算過程

  • ケース1(25万円・特例):特例の対象なので購入年に全額を償却費にします。㋭=250,000円、㋣=250,000円。事業専用割合80%をかけて㋷=250,000×80%=200,000円が必要経費。㋦=㋑250,000−㋣250,000=0円。摘要欄に「措法28の2」と記入します。
  • ケース2(18万円・一括償却資産):㋩に「1/3」と書き、㋭=180,000×1/3=60,000円を3年間つづけて計上します。㋷=60,000×80%=48,000円。㋦=180,000−60,000=120,000円。翌年・翌々年も同じ60,000円を計上します。
  • ケース3(32万円・10月購入・定額法):2026年3月31日までの取得だと特例(30万円未満)の枠を超えるため、耐用年数4年の定額法で計算します。㋭=㋺320,000×㋩0.250×㋥3か月/12か月=20,000円。㋷=20,000×80%=16,000円。㋦=320,000−20,000=300,000円。10月中のいつ買っても、その月は1か月として数えるので㋥は「3」です。

「㋷本年分の必要経費算入額」の計は、そのまま損益計算書の「減価償却費⑱」欄へ転記します(国税庁の書き方でも「決算書3ページの『減価償却費の計算』の『㋷本年分の必要経費算入額』の計の金額を記入します」とされています)。

いくら税負担が変わる?(数値例)

ケース1で20万円を必要経費に入れられた場合、税負担がどれだけ変わるかを試算します。給与と副業を合わせた課税される所得金額が「3,300,000円から6,949,000円まで」の区分にいる会社員を想定します。この区分の所得税の税率は20%(控除額427,500円)です(国税庁「No.2260 所得税の税率」)。住民税の所得割は標準税率で10%です。

  • 所得税:200,000円 × 20% = 40,000円の減
  • 住民税:200,000円 × 10% = 20,000円の減
  • 合計:おおむね60,000円の負担減

ただしこれは、経費を20万円増やしても税率の区分が変わらない前提の目安です。実際には他の所得・各種控除・住民税の税率(自治体により異なる場合があります)で結果が変わりますし、復興特別所得税(原則として基準所得税額の2.1%)も別途かかります。あくまで「25万円のパソコンを買えば25万円戻ってくる」わけではなく、減るのは税金であって支出そのものは戻らない点は誤解しやすいので注意してください。

ここで示した記入例・試算は2026年8月時点の公表情報にもとづく一般的な整理です。事業専用割合の決め方や特例を使えるかどうかは個々の状況で判断が分かれます。最終的な判断は、税理士など専門家や所轄の税務署に確認することをおすすめします。

副業の減価償却・少額資産に関するよくある質問

Q. 中古で買った機材でも特例は使える?

中古品でも取得価額(購入代金+付随費用)が基準内であれば、一括償却資産や少額減価償却の特例を使えます。ただし中古資産は法定耐用年数が短く見積もられる場合があり、30万円以上で通常の減価償却をするときは計算方法が変わります。金額が大きい中古機材を買ったときは処理方法を確認しておきましょう。

Q. 分割払いやローンで買った場合の取得価額は?

取得価額は分割払いの支払総額ではなく、資産本体の価格で判定します。分割手数料や金利は取得価額に含めず、支払った年の経費(利子割引料など)として処理するのが原則です。ローンで買っても、本体価格が30万円未満なら特例の対象になります。

Q. セットで買ったパソコンとモニターは合算して判定する?

原則として、通常一組で使うものは1セットで判定しますが、パソコン本体とモニターのように単独でも機能するものは、それぞれの取得価額で判定するのが一般的です。判断に迷う組み合わせは、税務署や税理士に確認すると確実です。

Q. 少額減価償却の特例と一括償却資産、結局どちらが得?

10万〜20万円未満の資産はどちらも選べます。今年の利益が大きく早く経費化したいなら少額減価償却の特例(青色申告・一括経費)翌年以降に利益を平準化したい、または償却資産税を避けたいなら一括償却資産(3年で3分の1ずつ)が向いています。特例は年300万円の上限や青色申告の要件があるため、その年の所得見込みと保有資産の総額を見て選ぶのがコツです。迷う場合は少額な一括償却資産から慣れていくと管理がしやすくなります。

まとめ:金額の境目を押さえて正しく経費にしよう

副業の機材は取得価額で処理方法が変わります。ポイントを整理します。

  • 10万円未満は購入した年に全額経費(申告方式を問わない)
  • 10万〜20万円未満は一括償却資産(3年で3分の1ずつ・償却資産税がかからない)
  • 10万〜30万円未満は少額減価償却の特例で一括経費(青色申告・年300万円まで)
  • 2026年4月1日以降は特例の上限が40万円未満に引き上げ

金額の境目と申告方式を押さえれば、機材の購入費を無理なく正しく経費にできます。なお、減価償却の判定や特例の適用は個々の状況によって異なり、本記事は2026年時点の一般的な情報をまとめたものです。具体的な処理に迷う場合は、税理士など専門家や所轄の税務署に確認することをおすすめします。

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